フリーランスの不安は8年消えない|考え続けず作業に戻る
今月の仕事はある。支払いも、たぶん回る。
それなのに、売上の画面を閉じたとたん「来月もあるとは限らない」が頭に浮かんで、作業の手が止まる。
仕事はあるのに、不安だけがずっと消えないんです
フリーランスや個人事業で働いていれば、一度は通る感覚だと思います。
僕は倒産したあと、一人で働くようになって8年になります。この不安は今もあります。収入の柱も、まだ1本です。
だからこの記事では、不安を消す方法ではなく、消えない不安の扱い方を書きます。
読み終えるころには、次の4つが手元に残るはずです。
- フリーランスの不安がどんな中身でできているか、自分の分を見分けられる
- 8年経っても不安が消えない理由が分かって、「自分だけが弱い」と思わなくて済む
- 不安で手が止まったときに、考え続けないための考え方が分かる
- 収入の柱1本にどれくらい頼っているのか、見直すきっかけがつかめる
フリーランスの不安は「仕事があるとき」にも来る

フリーランスの不安は、仕事が途切れたときだけに来るものではありません。むしろ、仕事が回っている最中にふっと来ることのほうが多いと思います。
この章では、どんな場面で来るのか、そして会社員の不安とどこが違うのかを見ていきます。
仕事が途切れていないのに不安になる場面3つ
今月の予定は埋まっている。取引先とも揉めていない。それでも不安になるのは、たいてい次のような場面です。
- 売上の画面を閉じたあと、来月の数字を考えてしまう
- 支払い日の前に、残高と引き落とし額を何度も見比べる
- 同業の人が「仕事が減った」と話しているのを聞いたとき
どれも、何かが起きたわけではありません。起きるかもしれない、と頭が先回りしているだけです。
何も起きてないのに、不安だけ先に来るんだよね
だからこそ厄介です。原因がはっきりしていれば手を打てますが、「まだ起きていないこと」には打つ手が見つかりません。
僕も一人で働いて8年、今もある
僕は倒産したあと、一人で働くようになって8年になります。それでも、この不安は消えていません。
支払いのこと、売上が伸びないこと、どうすれば売上を伸ばせるか。お金のことは、いつも頭のどこかで考えています。眠れない夜も、今もあります。

8年やっても、不安がなくなる日は来ていません
これは、始めたばかりの人にも先に伝えておきたいことです。
長く続けていれば慣れて消える、というものではありませんでした。年数が増えても、不安は同じ形で来ます。
なので、この記事を読んでいるあなたが1年目でも10年目でも、不安があること自体はおかしくありません。
会社員の不安と違うのは、相談できる相手が少ないこと
会社員だった30代のころは、同僚とランチに行ったり、休憩中に雑談したりする時間が当たり前にありました。ちょっとした不安なら、そういう場で口に出して済ませられる人も多いと思います。
一人で働くようになると、その場がなくなります。社会的な信用も会社員より低く見られがちで、この不安を話して分かってもらえる相手は多くありません。
だから不安を一人で抱えたまま、頭の中で同じことを考え続けてしまいます。
話せる相手がいれば一言で済む不安も、一人だと頭の中で何度も繰り返すことになります。
フリーランスの不安がしつこいのは、不安が大きいからというより、外に出す場所が少ないからかもしれません。
この「一人で考え続けてしまう」ことが、あとで書く不安の正体の1つにつながっていきます。
フリーランスの不安は5つの中身でできている

「不安」とひとことで言っても、中身は1つではありません。まとめて抱えていると、どこから手をつければいいか分からなくなります。
この章では、フリーランスの不安によく入っている5つの中身を並べます。自分の不安がどれに当たるかを見ながら読んでみてください。
収入が安定しない
会社員には、決まった日に決まった額が振り込まれる給料があります。フリーランスにはそれがありません。今月が良くても、来月も同じとは限りません。
先月は良かったのに、今月は半分なんてこともあるのか…
さらに怖いのは、収入の入り口が1つに偏っているときです。取引先が1社だけ、稼ぎ方が1つだけだと、そこが止まった瞬間に収入が全部止まります。
収入が不安定なこと以上に、「入り口が1つしかないこと」が不安の根っこになりやすいです。
仕事の量が読めない
来月の予定が埋まるかどうかは、来月にならないと分かりません。忙しい月と暇な月の差も大きく、どちらの月でも別の不安が出てきます。
忙しい月は「この量をこなしきれるか」、暇な月は「このまま仕事が来なかったら」。量が多くても少なくても、不安の形が変わるだけです。
どちらかに振れたときに慌てないためにも、今の自分がどちらの不安を抱えているかを知っておくのが第一歩です。
暇でも忙しくても不安って、休まる月がないね
お金の請求が読めない
住民税や国民健康保険料(自営業の人が入る健康保険)は、前の年の所得で決まります。収入が落ちた年に、良かった年の分の請求が来ることもあります。
税金と保険料の請求は、今の収入に合わせて来るわけではありません。いつ・いくら来るのかを知らないままだと、請求が届くたびに不安が大きくなります。
この「お金の不安」を、請求の時期と生活費の月数に分けて片づける方法は、別の記事にまとめています。
税金と国保の時期、生活費があと何か月もつかを先に知っておきたい人へ
社会的信用と相談相手
一人で働いていると、ローンや賃貸の審査で会社員より不利になることがあります。そして前の章で書いたとおり、不安を話せる相手も少なくなります。

僕も、社会的な信用は低いほうだと思っています
会社という後ろ盾がないぶん、信用も相談相手も、自分で作っていくしかありません。
信用の低さと、相談相手の少なさは、どちらも「一人でいること」から来ています。
先の見えなさ
この仕事を何歳まで続けられるのか。業界そのものが縮んでいかないか。体を壊したらどうなるのか。
- 年齢:この働き方をいつまで続けられるか
- 体:体調を崩したら、そのまま収入が止まる
- 業界:仕事そのものが減っていかないか
この箱に入る不安は、今日いくら考えても答えが出ないものばかりです。
5つを並べてみると、今日自分で動かせるものと、どうにもならないものが混ざっていることに気づきます。不安が重いのは、この2つを一緒に抱えているからです。
不安が8年経っても消えない理由

「慣れれば消える」「稼げるようになれば消える」。そう思って続けてきた人ほど、何年経っても消えないことに戸惑うかもしれません。
この章では、不安が消えない理由を、気持ちではなく仕組みの側から見ていきます。理由が分かると、「自分が弱いから」と責めなくて済みます。
稼げた月があっても不安は来る
6年ほど前、倒産したあとに始めたアフィリエイトで、単月25万円まで届いた月がありました。ただ、それはそのひと月だけです。そのあと伸びが鈍って、最後は月10万円ほどまで落ちました。

一度届いた数字が、次の月も続くとは限りませんでした
25万円の月も、10万円ほどの月も、どちらも同じ僕の数字です。
ここでの金額は僕の過去の実績で、そのひと月だけのものです。同じ結果が出ることを約束するものではありません。
稼げた月があったからといって、次の月の保証にはなりません。むしろ、一度上がった数字は、下がったときの落差を大きく感じさせます。
「稼げるようになれば不安は消える」は、フリーランスには当てはまりにくいです。
消えないのは、給料日がないという仕組みのせい
会社員の不安と大きく違うのは、次の給料がいつ・いくら入るかが、あらかじめ決まっていないことです。
- 会社員:毎月決まった日に、ほぼ決まった額が入る
- フリーランス:いつ・いくら入るかは、その月の仕事しだい
先の数字が決まっていないから、頭はずっと計算を続けます。来月は足りるか、その次はどうか。答えが出ないまま、計算だけが終わりません。
不安なのは性格じゃなくて、仕組みのせいなのか
先の数字が決まらない限り、頭は答えを探し続けます。
不安が消えないのは、あなたが弱いからではありません。給料日がない働き方をしている限り、形を変えて何度でも来るものです。
だから「なくす」ではなく「扱い方を決める」
仕組みから来る不安は、気持ちを強く持っても消えません。消そうとするほど、消えないことに疲れていきます。
目指すのは不安をゼロにすることではなく、不安があっても手を止めないことです。
そのために、この記事では2つのことを考えます。1つは、不安が来たときに考え続けないこと。もう1つは、不安の根っこにある「柱が1本しかない」状態に目を向けることです。
- 稼げた月があっても、不安は消えない
- 消えないのは、給料日がない仕組みのせい
- だから「なくす」ではなく「扱い方を決める」
考え続けないために、僕は作業かゲームかアニメに切り替える

不安をなくせないなら、せめて一日中考え続けるのは避けたい。
この章では、不安が来たときに僕が実際にやっていることを書きます。
特別な方法ではありません。ただ、「考え続けない」と先に決めておくだけで、手が止まる時間は変えられます。
考えても答えが出ない不安がある
前の章で並べた5つのうち、「先の見えなさ」に入る不安は、今日いくら考えても答えが出ません。何歳まで続けられるか、業界が縮まないか。それを夜中に考えても、翌朝の状況は同じです。
分かってても、気づくと同じことを考えてるんですよね
答えの出ない問いを考え続けると、時間だけが消えていきます。その日の作業も進みません。
答えの出ない不安を考え続けるほど、今日やれたはずの作業の時間が減っていきます。不安のせいで仕事が遅れて、その遅れがまた次の不安を呼ぶ。この流れに入りやすいので注意してください。
だから、答えが出るかどうかで分けて考えます。出ないものは、考える対象から外していい、ということです。
僕の切り替え先は、作業か、ゲームかアニメ
不安が来たとき、僕がやっていることは2つです。作業をするか、趣味のゲームかアニメを見るか。

考え続けるより、手か気分を別のほうへ向けます
作業は、手を動かすほうの切り替えです。ゲームやアニメは、好きなものに気持ちを向けるほうの切り替え。どちらを選んでもかまいません。
大事なのは、不安が来たときの行き先を、先に決めておくことです。
行き先が決まっていないと、不安が来たその場で「どうしよう」から考えることになります。決まっていれば、迷う前に動けます。
僕がゲームやアニメとどう付き合っているかは、趣味について書いた記事に正直にまとめています。
外に出る趣味がなくなっても、空白が怖くなかった理由を読みたい人へ
切り替えは逃げではない
ゲームやアニメに切り替えると聞くと、「それってただの現実逃避では」と思う人もいるかもしれません。
不安なときに遊ぶのって、ちょっと後ろめたいかも
考え続ければ答えが出る不安なら、考えればいいと思います。でも、答えの出ない不安に何時間使っても、今日の数字は変わりません。
答えの出ないことに使っていた時間を、作業か、気持ちを戻す時間に回す。これは逃げではなく、時間の使い方を選んでいるだけです。
ただし、切り替えたことで不安が消えるわけではありません。目的は、同じことを考え続ける時間に区切りをつけることです。
もう1つの不安の正体は「柱が1本」なこと

ここまでは、不安が来たときの扱い方の話でした。でも、フリーランスの不安にはもう1つ、気持ちの持ち方では片づかない根っこがあります。
それが、収入の柱が1本しかないことです。この章では、僕自身の現在地も含めて、その危うさを見ていきます。
僕も今、柱は1本
先に正直に書いておきます。僕の収入の柱は、今もまだ1本です。増やしたいと思いながら、まだ増やせていません。

偉そうに言える立場ではなく、僕もまだ1本です
柱が1本ということは、それが止まれば収入が全部止まるということです。収入のうち1本目が占める割合は、10割です。
不安が消えない理由の半分は、気持ちではなく、この「1本しかない」という構造にあります。
切り替えで考え続ける時間は区切れても、この構造は残ります。だからこそ、ここは気持ちとは別に考える必要があります。
柱は止まる前に兆しがある
柱は、ある日いきなり止まるわけではありません。僕のアフィリエイトは、こんな順番で落ちていきました。
- 伸びが鈍る
- 飽きてきて、市場調査をやめる
- 別のジャンルを探し始めて、更新が落ちる
- 記事から記事への導線の管理が崩れる
- 月10万円ほどまで落ちる
落ちていく途中で、なぜ伸びないのかを自分で説明できませんでした。
兆しが出てるうちに気づけるかどうか、なんですね
この落ちていった順番と、どこが崩れたのかは、別の記事で詳しく書いています。
柱が止まっていく順番を、自分の仕事に当てはめて確かめたい人へ
次を探すとき、今の柱を置いていかない
柱が1本だと気づくと、すぐに次を探したくなります。僕も、伸びが鈍ってきたところで別のジャンルを探し始めました。
ただ、次を探しているあいだに、元のサイトの更新が止まっていました。
次を探すこと自体は悪くありません。問題は、今の柱の手入れを止めてしまうことです。2本目がまだ育っていないうちに1本目が弱ると、どちらも支えにならなくなります。
2本目を考えるときほど、1本目の時間を先に確保しておく。柱を増やす話は、今の柱を守る話とセットです。
2本目を考えるときに、先に知っておきたいこと

柱を増やしたいと思ったとき、多くの人が同じところでつまずきます。
この章では、2本目を考え始める前に知っておきたい注意点を3つ並べます。どれも、始める前に知っていれば避けやすいものです。
同時にいくつも始めない
2本目の候補を探していると、あれもよさそう、これもよさそうと目移りします。不安が強いときほど、早く安心したくて、いくつも同時に始めたくなります。
どれが当たるか分からないなら、全部やればいいのでは?
でも、同時にいくつも始めると、どれも覚えかけのところで止まり、何も形にならないまま時間だけが過ぎていきます。副業や独立でいちばんよくある失敗の形です。
2本目は、1つだけ選んで始めます。ほかの候補は、1つ目が形になってからで十分です。
夜中まで作業して体を崩さない
不安が強い夜は、何かしていないと落ち着かなくて、つい遅くまで作業してしまいます。2本目を始めたばかりのころは、なおさらです。
一人で働いていると、体調を崩した日はそのまま収入が止まる日です。睡眠を削って2本目を育てても、1本目まで一緒に止まってしまっては意味がありません。
2本目にかける時間は、睡眠を削らなくても続けられる量にしておきます。
不安な夜ほど、がんばりすぎちゃうんだよね
もしものときの戻り先も考えておく
柱を増やすのは、今の柱が止まる前の備えです。それとは別に、止まってしまったときにどこへ戻るかも、考えておいたほうがいいと思っています。
僕は倒産したあと、会社員に戻ろうとして面接を受けましたが、全部落ちました。最悪の事態を考えて、別の道を先に持っておくべきだったというのが、今の実感です。

戻れるはずの場所に、戻れないこともありました
戻れる場所と代わりの道を先に洗い出しておく手順は、有料noteにまとめています。
倒れたときの戻り先と代わりの道を、4つのステップで洗い出しておきたい人へ
▶ 「起業に失敗したら人生終わり」は本当か。面接に落ち続けた僕が見つけたもう一つの道
ただし、1つだけ誤解してほしくないことがあります。
柱を増やせば不安が消える、とは限りません。2本目は不安を消すためではなく、1本が止まっても全部は止まらない状態を作るためのものです。
今日できる1つのこと

ここまで読んで、「で、今日は何をすればいいの」と思った人もいるはずです。不安を消す方法はありませんが、手が止まる時間を今日から短くすることはできます。この章では、10分あればできることを2つだけ書きます。
頭の中の不安を3つ書き出してみる
まずは、いま頭の中にある不安を3つだけ、紙かスマホのメモに書き出してみてください。1つにつき1行で十分です。
書くだけなら、今すぐでもできそう
書き出してみると、この記事の前半で並べた5つの中身のどれに当たるかが見えてきます。お金の不安なのか、仕事の量の不安なのか、先の見えなさなのか。
- いま頭にある不安を3つ書く
- それぞれが5つの中身のどれに当たるか、横に書き足す
頭の中で回しているあいだは、同じ不安が何度も戻ってきます。外に出して並べるだけでも、「どれが今日動かせるもので、どれが動かせないものか」を考える足場ができます。
切り替え先を1つ決めておく
もう1つは、不安が来たときの行き先を、1つだけ先に決めておくことです。
- 手を動かす作業:領収書の整理、下書きの見直しなど
- 気持ちを戻す好きなこと:ゲーム、アニメ、音楽など
どちらか1つでかまいません。不安が来たら、考え始める前にそこへ行く。それだけ決めておきます。
行き先が決まっていれば、「どうしよう」と考え始める前に手が動きます。
書き出した不安をどう仕分けて、切り替え先をどうリストにしていくかの手順は、最後に紹介するnoteにまとめています。
まとめ|フリーランスの不安は消えないまま、手を動かす

最後に、この記事で見てきたことを振り返ります。不安が消える結末は用意できませんでした。でも、消えないまま手を動かすための考え方は、ここまでで一通りそろったはずです。
この記事で見てきたこと
フリーランスの不安は、仕事があるときにも来ます。僕も一人で働いて8年になりますが、今もあります。
- 不安の中身は「収入・仕事の量・お金の請求・信用と相談相手・先の見えなさ」の5つ
- 消えないのは、給料日がないという仕組みのせい。自分が弱いからではない
- 答えの出ない不安は考え続けず、作業か好きなことに切り替える
- もう1つの根っこは「柱が1本」なこと。2本目を考えるときほど1本目を置いていかない
どれか1つでも、今日から試せるものがあれば十分です。
消えなくてもいい、と思えたら少し楽になりました
次の一歩
この記事では、不安の中身と、付き合い方の考え方までを書きました。
ただ、「書き出した不安をどう仕分けるか」「切り替え先をどうリストにするか」「今の柱にどれだけ頼っているかをどう確かめるか」「2本目をどう選んで、どう試すか」。ここから先は、考え方だけでは手が止まりやすいところです。
そこを、表5点つきの5ステップにまとめた手順書をnoteに書きました。
僕自身、柱はまだ1本です。だからこれは成功した人のノウハウではなく、1本目で落ちていった順番から組み立てた、これから2本目を作るための手順書です。
不安を書き出す、考え続ける時間を区切る、柱の依存度を確かめる。
そして2本目を1つだけ選んで、試す期間と撤退ラインを先に決める。
この5ステップを、コピーしてそのまま使える表つきでまとめています。
▶ フリーランスの不安と8年。収入の柱がまだ1本の僕が、不安を作業に変えて2本目を育てる5ステップ
