出かける直前、玄関で鍵が見つからない。さっきまで手に持っていたはずなのに、カバンのポケットにもテーブルの上にもない。

まさ

また鍵がない…もう出ないと間に合わないのに

届いた書類を「確かここにしまったはず」と探す日もあります。見つからないたびに、次は気をつけようと思う。それでも、気づけばまた同じように探している。

探し物が減らないのは、あなたの注意力が足りないからではありません。

僕も昔は、鍵と書類をよく探していました。財布はすぐに無くして、何度も買い替えていたほどです。それが、置く場所を固定してからは、鍵と書類を探すことがなくなりました。

のぶ

性格を直したわけじゃないんです。変えたのは置き場所でした。

この記事では、探し物が起きる理由から、置き場所の決め方、決められないときの対処までをまとめました。

この記事で学べること
  • 探し物が「性格」ではなく置き場所の問題だと分かる
  • 探す時間だけでなく、買い直しという出費まで見えるようになる
  • 今日から決められる置き場所の決め方が分かる
  • 置き場所が決められない・続かないときの対処が分かる

家の中で、いつも同じ物を探している

探し物は、ある日いきなり増えるものではありません。毎日のどこかに、数分ずつ挟まっています。

この章では、よくある3つの場面を並べてみます。自分がどの場面で止まっているかが分かると、次の章で話す「原因」がぐっと自分ごとになります。

出かける直前に、鍵が見つからない

よくあるのが、家を出る直前です。靴を履きかけたところで、鍵がないことに気づく。

さっき帰ってきたときに、どこかに置いたのは確か。でも、それがどこだったのかが出てきません。

まさ

上着のポケット?カバン?テーブル?全部見たのに…

時間に余裕がある日なら、落ち着いて探せます。ところが鍵が消えるのは、決まって急いでいる朝です。

急いでいるときほど、置いた場所を覚えていない。探し物がつらいのは、見つからないことより「時間がないのに見つからない」ことのほうです。

書類は「どこかにしまったはず」がいちばん見つからない

鍵とは逆に、書類は「ちゃんとしまった」ときほど見つかりません。

大事な書類だから、なくさないように安全な場所へ入れた。その「安全な場所」がどこだったのかを、数か月後に思い出せなくなります。

大事にしまった物ほど、しまった場所ごと記憶から抜けていきます。

引き出しを上から順に開けて、ファイルを1冊ずつめくる。探しているうちに、別の書類が出てきて手が止まる。

ひかり

探してた物じゃない書類ばっかり出てくるんだよね

探すたびに、自分を責めてしまう

見つかったあとに残るのは、ほっとした気持ちより「またやった」という感覚かもしれません。

だらしないのかな。もっと気をつけないと。そう思って、次は気をつけようと決める。でも、また同じ場面で探すことになります。

のぶ

僕も昔は、鍵と書類をよく探していました。

同じ場面で何度も止まるなら、それは気持ちの問題ではないのかもしれません。

この章のまとめ
  • 鍵は、急いでいる出かける直前に消える
  • 書類は、大事にしまったときほど見つからない
  • 探すたびに「気をつけよう」と決めても、同じ場面でまた止まる

次の章では、なぜ「気をつけよう」では探し物が減らないのかを見ていきます。

探し物が多いのは、注意力や性格のせいではない

「自分はだらしないから探し物が多い」と思っている人ほど、この章を読んでほしいです。探し物が起きる場所には、はっきりした共通点があります。

それが分かると、直すべきなのは自分の性格ではなく、物のほうだと見えてきます。

探すのは「戻る場所が決まっていない物」だけ

家の中を見回してみてください。毎日使っているのに、一度も探したことがない物があるはずです。

探さない物と、探す物
  • 探さない物 … 歯ブラシ、冷蔵庫の中の牛乳、いつも座る椅子
  • 探す物 … 鍵、書類、スマホ、リモコン

歯ブラシを探して家中を歩き回った、という話はあまり聞きません。歯ブラシは、使い終わったら必ず同じ場所に戻るからです。

一方で鍵や書類は、その日の気分や手が空いた場所に置かれます。玄関の棚の日もあれば、テーブルの上の日もある。

探し物になるのは、置く場所が毎回変わる物だけです。

つまり、探し物が多い人は注意力が足りないのではなく、戻る場所が決まっていない物をたくさん持っている、ということになります。

「気をつけよう」で直らない理由

置き場所が決まっていない物は、置いた瞬間に「どこに置いたか」を覚えておくしかありません。そして、その「覚えておく」は毎回やり直しになります。

まさ

毎回覚えておくなんて、そりゃ無理ですよね…

「気をつける」と「置き場所を決める」を並べると、違いがはっきりします。

気をつける置き場所を決める
やること置くたびに場所を覚える最初に1回だけ場所を決める
必要な回数毎回1回
急いでいる日忘れやすいいつもの場所に戻すだけ

疲れている日や急いでいる日に、毎回の「覚えておく」が抜けるのは当たり前です。

気をつけるのは毎回いる。置き場所は1回決めれば済む。直すなら、回数が少ないほうから手をつけるのが近道です。

体や記憶の問題だと、ひとりで決めつけない

探し物が続くと、「記憶力が落ちたのかな」と不安になることもあると思います。

この記事では、体や記憶の話はしません。まずは物の戻る場所という、今日から変えられる仕組みのほうを見ていきます。置き場所を決めるだけで減る探し物は、思っているより多いからです。

ただし、急に物をなくすことが増えた、生活に困るほどになっている、という場合は、ひとりで抱え込まず、家族や身近な人に話したうえで、医療機関などの専門の窓口に相談してください。

そのうえで、仕組みで減らせる分はきちんと減らしていきましょう。

のぶ

直すのは自分じゃなく、物の戻る場所。ここが出発点です。

探し物のコストは、時間だけじゃない

探し物で失うのは、数分の時間だけだと思われがちです。でも本当に効いてくるのは、そのあとに起きることのほうです。

この章では、探し物がいつの間にか「出費」に変わっていく流れを見ていきます。

見つからない物は、買い直してしまう

探しても見つからないとき、最後に浮かぶのは「もう買ったほうが早い」という考えです。

はさみ、充電ケーブル、傘。どれも少し探して出てこなければ、近くの店やネットで手に入ります。

みさき

見つからないから、つい同じのをもう1個買っちゃう…

僕の場合、それが財布でした。財布をすぐに無くしてしまい、何度も買い替えていたことがあります。

見つからない物は、いつか「買い直す」という出費に変わります。

1回ごとの金額は小さく見えても、同じ物を何度も買っているなら、それは探し物が生んだ支出です。

買い直しは「探す時間を消すための出費」になっている

買い直すときの判断を、順番に並べてみます。

買い直しが起きるまでの流れ
  • ①置き場所が決まっていないので、どこに置いたか分からない
  • ②探す時間がない、または探しても出てこない
  • ③「探すより買ったほうが早い」と判断する
  • ④お金を払って、探す時間を消す

こうして見ると、買い直しで払っているのは物の代金というより、探す時間を消すためのお金です。

まさ

物じゃなくて、時間にお金を払ってたのか…

物価が上がっている今、同じ物を2回買うことは、そのまま家計の負担になります。

節約というと食費や固定費を思い浮かべがちですが、「同じ物を買わない」も立派な守りです。置き場所を決めることは、出費を1つ減らすことにもつながります。

物が増えると、探す場所も増える

買い直したあとに、なくしたはずの元の物がひょっこり出てくることがあります。これで家の中に、同じ物が2つになります。

物が増えれば、しまう場所が足りなくなります。あちこちに置くようになり、また置き場所が毎回変わる。探し物が増える流れに、ふたたび戻ってしまいます。

探し物 → 買い直す → 物が増える → 置き場所が足りない → また探す。この輪に入ると、片付けても探し物は減りません。

僕も、物は今も多いほうです。物が増える入口については、別の記事で詳しく書きました。

次の章では、僕が鍵と書類を探さなくなったときに、何を変えたのかを書きます。

僕が探し物をしなくなったのは、置き場所を固定しただけ

ここまで、探し物が起きる理由と、それが出費に変わる流れを見てきました。

この章では、僕自身の話をします。鍵と書類を探してばかりいた僕が、探さなくなったときに変えたことは1つだけでした。

鍵と書類の置き場所を固定した

昔の僕は、鍵と書類をよく探していました。どちらも、決まった置き場所がなかった物です。

僕が変えたこと
  • 鍵 … 置く場所を固定した
  • 書類 … 置く場所を固定した

やったのは、これだけです。注意力を鍛えたわけでも、片付けが得意になったわけでもありません。

まさ

え、本当にそれだけで変わるんですか?

のぶ

僕の場合は、それで探すことがなくなりました。

固定してから、探すことがなくなった

置き場所を固定してから、鍵と書類を探すことがなくなりました。

前の章で見たとおり、置き場所が決まっていない物は、置いた瞬間を覚えておくしかありません。固定すると、その「覚えておく」がいらなくなります。決めた場所を見れば済むからです。

置き場所が決まっていれば、「どこに置いたっけ」を思い出す作業そのものが消えます。

置き場所が決まっていないときと、決まっているときを並べると、こうなります。

置き場所が決まっていない置き場所が決まっている
置くとき手が空いた場所に置く決めた場所に置く
探すとき思い出しながら家中を探す決めた場所を見る
急いでいる朝見つからずに焦るいつもの場所にある

性格が変わったのではなく、探す場面そのものがなくなった、ということです。

「探し物を減らす」ではなく、「探す場面を作らない」。発想をこちらに切り替えると、気合いがいりません。

物は今も多い。それでも置き場所は固定している

誤解のないように書いておくと、僕の家は今も物が多いほうです。部屋がすっきり片付いたから探さなくなった、という話ではありません。

ひかり

部屋が片付いてなくても、探し物は減らせるんだね

物が多いまま、鍵と書類の置き場所だけは今も固定しています。

この章のまとめ
  • 変えたのは、鍵と書類の置き場所を固定したことだけ
  • 固定してから、鍵と書類を探すことがなくなった
  • 物が多いままでも、置き場所は固定できる

では、置き場所はどうやって決めればいいのか。次の章で、決めるときのルールを4つにまとめます。

置き場所を決めるときの4つのルール

置き場所を固定するといっても、どこに決めればいいのか迷う人も多いと思います。

この章では、置き場所を決めるときの一般的なルールを4つにまとめました。全部を完璧に守る必要はありません。今日できそうなものから1つ使ってみてください。

ここで紹介するのは、置き場所を決めるときによく使われる考え方です。僕が鍵と書類を固定したときに、この4つを全部意識していたわけではありません。

ルール1:探す回数が多い物から、1つずつ決める

いきなり家中の物の置き場所を決めようとすると、途中で疲れて止まります。

まずは、最近よく探した物を書き出してみてください。

よく探す物の候補
  • 財布
  • スマホ
  • 書類(郵便物・手紙・保証書など)
  • リモコン

この中で、いちばん困っている物を1つだけ選びます。置き場所を決めるのは、その1つからで十分です。

ひかり

全部じゃなくて、1つだけでいいなら今日できそう!

ルール2:使う場所の近く、帰ってきた動線の上に置く

置き場所は、しまいやすい場所より「使う場所の近く」に決めるのが基本です。

特に大事なのが、動線(家の中で自分が歩く道すじ)の上に置くこと。帰ってきて最初に通る場所に置き場所があれば、わざわざ遠回りしなくても自然に戻せます。

使う場面置き場所の例
出かけるとき・帰ったとき玄関の近く
リモコンテレビを見るときテレビやソファの近く
書類届いたとき・確認するとき郵便を受け取ったあとに通る場所

どの物も、使う瞬間と戻す瞬間に手が届く場所を選んでいます。

戻すのに遠回りが必要な場所は、どれだけきれいに整えても続きません。

ルール3:1つの物に、1つの場所

「鍵はだいたい玄関かテーブルのあたり」のように、候補を2つ以上作らないことも大切です。

候補が2つあると、置くときに迷い、探すときは2か所を見ることになります。これでは、置き場所が決まっていないのと変わりません。

「この辺」「どちらか」は置き場所ではありません。場所は1か所に絞ると、探すときに見る場所も1か所になります。

トレイや小さなかごを置くと、「ここに置く」という範囲がはっきりして、1か所に絞りやすくなります。

みさき

トレイがあると、置く場所が目で分かるから迷わないね

ルール4:書類は「入口」を1か所にする

書類がやっかいなのは、届くタイミングがばらばらで、種類も多いことです。届いたその場で仕分けまでしようとすると、途中で手が止まり、あちこちに置かれていきます。

そこで、届いた書類をまず入れる「入口」を1か所だけ決めます。

書類の入口の考え方
  • ①届いた書類は、中身を見る前にまず入口に入れる
  • ②仕分けや処理は、あとでまとめてやる
  • ③入口以外の場所には置かない

入口が1つなら、「あの書類どこだっけ」となったときに、まず見る場所が決まります。

書類は「どこにしまうか」より「どこに入れるか」を先に決める。しまい方は、そのあとで考えれば大丈夫です。

置き場所が決められない・続かないとき

ルールが分かっても、実際にやってみると「場所が決められない」「決めたのに戻さなくなった」ということは起きます。

この章では、よくある3つのつまずきと、そのときの考え方をまとめます。つまずくのは失敗ではなく、置き場所の決め方を少し直すサインです。

物が多すぎて、置き場所が足りない

置き場所を決めようとしても、そもそも置くスペースがない。物が多い家では、まずここで止まります。

まさ

置き場所を作ろうにも、棚がもういっぱいで…

僕の家も、今も物が多いほうです。それでも、家中の物に場所を作らなくても、鍵と書類の置き場所は固定できました。

置き場所を作るのは、よく探す物だけで足ります。

それでも場所が足りないなら、今ある物を片付けるより先に、これから入ってくる物の「入口」を見直すほうが効きます。物が増える入口の話は、この記事の途中で紹介した「断捨離のリバウンド」の記事にまとめてあります。

全部の物を片付け終わってから置き場所を決める、という順番にしない。片付けが終わるのを待っていると、いつまでも置き場所が決まりません。

戻すのが面倒で、続かない

置き場所は決めたのに、気づくとまた別の場所に置いている。これは、戻す手間が多すぎるときに起きます。

扉を開ける、ふたを外す、奥にしまう。1つずつは小さな動作でも、疲れて帰ってきた日には、その数歩が重くなります。

戻す手間が多い置き場所戻す手間が少ない置き場所
動作扉を開けて、ふたを外して入れる置くだけ・入れるだけ
場所使う場所から離れている使う場所のすぐ近く
疲れた日後回しになりやすいそのまま戻せる

置き場所は、きれいに見えるかより「1回の動作で戻せるか」で選ぶと続きやすくなります。

ひかり

見た目より、疲れてる日でも戻せるかが大事なんだね

僕は掃除も得意ではありません。得意ではないまま回せるやり方については、別の記事に書きました。

完璧を目指さない

置き場所を決めると、家中を整えたくなるかもしれません。でも、そこまでやろうとすると、また途中で止まります。

目指すのは「すっきりした部屋」ではなく「探さない物が1つ増えること」。1つ増えれば、それだけで出かける前の探し物が1つ減ります。

戻し忘れた日があっても、次の日に決めた場所へ戻せば大丈夫です。置き場所が決まっていれば、戻し忘れた物も「本来ある場所」がはっきりしているので、立て直しが早くなります。

この章のまとめ
  • 物が多くても、置き場所を作るのはよく探す物だけでいい
  • 続かないときは、戻す手間を1回の動作まで減らす
  • 完璧を目指さず、探さない物を1つずつ増やす

まとめと次の一歩

最後に、この記事で見てきたことを振り返り、今日やることを1つに絞ります。探し物を減らすのに、大きな片付けも、性格を変える努力もいりません。

読み終えたあとの数分で、1つ目の置き場所を決めてしまいましょう。

この記事で見てきたこと

探し物は、注意力や性格の問題ではありませんでした。戻る場所が決まっていない物だけが、家の中で何度も消えていきます。

この記事のポイント
  • 探し物になるのは、置く場所が毎回変わる物だけ
  • 「気をつける」は毎回必要、置き場所は1回決めれば済む
  • 見つからない物は、いつか買い直しという出費に変わる
  • 物が多いままでも、よく探す物の置き場所は固定できる

僕が鍵と書類を探さなくなったときも、変えたのは置き場所を固定したことでした。物は今も多いままです。

まさ

片付けから始めなくていいなら、気が楽になりました

今日決めるのは、いちばん探す物の置き場所1つだけ

全部の物に場所を作ろうとすると、また途中で止まります。今日やることは、この3つだけです。

今日やること
  • ①最近いちばん探した物を、1つだけ選ぶ
  • ②使う場所の近くに、置き場所を1か所だけ決める
  • ③次に使い終わったら、その場所に置く

これで、探さない物が1つ増えます。1つ目がうまく回ったら、2つ目を選べば大丈夫です。

直すのは自分じゃなく、物の戻る場所。まずは1つだけ決めてみてください。

それでも、探すたびに「自分はだらしない」と感じてしまう人もいると思います。その気持ちの側については、noteに書きました。

ここまでで「置き場所をどう決めるか」は見えたはずです。 一方で、「気をつけよう」と決めても直らない自分を責めてしまう、その気持ちの正体は別の話になります。 なぜ「ちゃんとすれば直る」が当てはまらないのか、僕が鍵と書類を探さなくなったときの話と一緒に、noteにまとめました。
鍵と書類を探していた僕は、置き場所を固定してから探さなくなった