返済額は同じなのに元本が減らない|変動金利5年ルールの罠
「日銀が利上げ」のニュースに少し不安になって、通帳を見た。でも住宅ローンの引き落とし額は、先月とまったく同じだった。それで安心して、その日はもう考えなかった。
返済額が変わってないなら、うちはまだ大丈夫でしょ?
その感覚は、おかしくありません。むしろ、そう思うように作られています。
返済額が変わらないことは、金利が上がっていないことの証明にはなりません。
正直に書いておくと、僕は住宅ローンを組んでいません。だから体験談は書けない。
書けるのは、数字と仕組みと、30代のころ「役職がついても手取りが増えなかった」ときの実感のほうです。
この記事では、返済予定表という1枚で、いま自分に何が起きているのかを確認できるところまで持っていきます。
- 自分の返済額が変わっていない理由が、2つのルールのどちらなのかが分かる
- 返済予定表のどこを見れば「元本の減り方」を確認できるか、手順で分かる
- 6年目の見直しで返済額がどこまで上がりうるか、上限の考え方が分かる
- いま自分がやることを「今日やること」と「今は動かなくていいこと」に仕分けできる
金利は上がった。なのに、返済額は先月と同じだった

この章では、いま実際に何が起きているのかを先に確認します。ニュースと自分の通帳が食い違って見える理由は、じつはとてもシンプルです。
ここが分かるだけで、「うちは無関係」という思い込みは外れます。
2026年9月、住宅ローンの金利はどうなっているのか
上がっています。日銀(日本銀行)は2026年6月の会合で、政策金利(世の中の金利の土台になる金利)を0.75%から1.00%へ引き上げました。
- ネット銀行 …… 年1.292%
- メガバンク …… 年1.248%
- 地方銀行 …… 年1.227%
- 最も低い水準はSBI新生銀行の年0.990%
いちばん低いところでも0.990%。1%を切る金利は、いまや例外的な水準になっています。
そしてここからが、いちばん見落とされている部分です。日銀が金利を上げても、各銀行が住宅ローンの金利に反映させる時期はバラバラなんです。
6月の利上げを受けて、9月に先行して変動金利を引き上げたのがドコモSMTBネット銀行・楽天銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行。大半の銀行は10月からと見られています。
反映の時期は銀行ごとに違います。だから「まだ何も変わっていない」と感じている人ほど、確認する価値があります。
つまり多くの人は「まだ上がっていない」のではなく、「これから反映される」側にいます。
それでも返済額が変わらない理由は、1行で言えます
上がっていないからではありません。5年間は返済額を変えないと決まっているからです。
金利は上がってるのに、返済額だけ止めてるってこと?
そういうことです。変動金利型の住宅ローンの多くには「5年ルール」という決まりがあって、金利が動いても毎月の返済額は5年間そのままに保たれます。
ここで大事なのは、止まっているのは「返済額」であって「金利」ではないということ。金利は上がったまま、いつもどおり計算されています。
返済額が変わらないのは、金利が動いていないからではなく、動いた分を返済額に出さないようにしているから。だから通帳を見ても気づけません。
では、返済額に出てこなかった分はどこへ行ったのか。それが次の章の話です。
- 2026年6月に政策金利が0.75%→1.00%へ。変動金利への反映は9月〜10月にかけて進んでいる
- それでも返済額が変わらないのは「5年ルール」があるから
- 止まっているのは返済額だけで、金利は上がったまま動いている
「うちは大丈夫」と思ってしまうのは、あなたのせいじゃない

ここまで読んで、「なんで自分は気づかなかったんだろう」と思った人がいるかもしれません。この章で伝えたいのは、その逆です。
気づけなかったのは注意不足でも勉強不足でもなく、気づけない形になっていたから。そこが分かると、次に何を見ればいいかがはっきりします。
人は「変わった数字」しか見ない
家計を確認するとき、僕たちが見ているのは口座から引き落とされた金額です。その金額が先月と同じなら、そこで確認は終わります。
毎月ちゃんと通帳は見てるよ。同じ額が落ちてるから安心してた
これはサボっているのではなく、人の注意の仕組みどおりです。変化のないものに注意は向きません。
金額が変わらないかぎり、その中身を開けてみようとは思わない。だから内訳の変化は、いつまでも視界に入らない。
住宅ローンで起きているのは、まさにこれです。表に出ている数字だけが固定されていて、その内側だけが動いている。確認する動機が発生しない設計になっているわけです。
僕も、額面が増えたのに手取りが変わらなかったことがある
じつは僕自身、これとよく似た場面に出会ったことがあります。住宅ローンではなく、給料の話です。
30代のころ、会社で役職がつきました。責任も仕事量も増えました。でも、手取りはほとんど増えませんでした。
気づいたのは給与明細ではなく、口座に入ってきた振込額を見たときでした。増えているはずの数字が、思ったほど増えていなかったんです。

あれ、増えてない。なんでだろう、と不思議に思って調べました
実際に起きていたのは、社会保険料(健康保険や年金など、給料から自動で引かれるお金)と税金が同時に増えていたことです。額面が上がった分は、そちらへ回っていました。
つまり動いていたのは内訳で、僕が見ていた手取りは動いていなかった。同じことを、独立する直前にもう一度感じて、そのときもまた調べています。
このとき僕が気づけたのは、振込額が「増えるはずだった数字」だったからです。増えると思っていたから、変わっていないことに違和感を持てました。
逆に言えば、増えるとも減るとも思っていない数字は、そもそも疑いの対象にすらなりません。
表に見えている数字が変わらないとき、人は「何も起きていない」と読みます。でも実際には、見えないところだけが変わっていることがある。給料でも、住宅ローンでも、起きていることは同じです。
だからこれは、知識の問題ではなく「見る場所」の問題
金利の勉強をしていないから気づけなかった、という話ではありません。
必要なのは金融の知識ではなく、一度も開いていない1枚の紙を開くことです。
そして住宅ローンは、給料よりたちが悪い。返済額は変わらないのが当たり前なので、違和感そのものが起きないからです。僕が振込額に感じたような「あれ?」が、そもそも発生しません。
だから、向こうから知らせてくれるのを待っていても何も来ない。
住宅ローンの返済予定表(毎回の返済額と、その内訳が全部書かれている表)を最後に見たのはいつでしょうか。借りたときのまま、どこかにしまわれていないでしょうか。
ここで注意したいのは、金額の大小ではなく「確認していない期間の長さ」のほうです。5年ルールは5年単位で動くので、気づかない期間もそのまま5年になります。
なお、支出の見直し全般については、手をつける順番を間違えると効きません。そちらは別の記事にまとめてあります。
次の章では、その返済予定表の中で実際に何が起きているのかを、数字で見ていきます。
5年ルールと125%ルールが、静かにやっていること

ここがこの記事の中心です。名前だけは聞いたことがある2つのルールが、実際に何をしているのか。
読み終えると、「返済額が同じ」という事実の意味が、いまとは正反対に見えるようになります。数字も出しますが、電卓は要りません。
5年ルール:返済額を5年間そのままにする決まり
金利が上がっても下がっても、毎月の返済額を5年間は変えない、というルールです。
- 変えないのは「毎月の返済額」だけ
- 金利は上がったまま、そのまま計算に使われている
- 返済額の見直しは5年ごと(6年目・11年目…)にやってくる
これは家計を守るための激変緩和措置(急な変化をやわらげるための決まり)で、悪意のある仕組みではありません。金利が上がった翌月から返済額が跳ね上がったら、家計は確実に壊れますから。
ただし、和らげているのは「変化の速さ」であって、「負担そのもの」ではありません。
125%ルール:6年目に上がるときも1.25倍が上限
5年が過ぎて返済額が見直されるとき、いきなり2倍になったりしないように、上限が決められています。
1.25倍までなら上がるかもしれないってこと?
そういうことです。たとえば月8万円なら、上限は月10万円まで。ここでも守られているのは「上がり方の急さ」であって、金額が増えないという保証ではありません。
5年ルールと125%ルールは、すべての銀行が採用しているわけではありません。ネット銀行を中心に、これらのルールを設けず金利の変動をそのまま返済額に反映させるところもあります。まず「自分の銀行はどちらか」を確認してください。
返済額が同じでも、内訳はこう変わる
毎月払っているお金は、2つに分かれています。利息(お金を借りている手数料)と、元本(借りた金額そのものの返済)です。
金利が上がると、利息の分が増えます。でも返済額の合計は5年間変わらない。ということは、どこかが減っているはずですよね。減っているのは元本のほうです。
- 利息 …… 金利が上がると増える
- 元本 …… 返済額が据え置かれるぶん、減らされる
- 合計 …… 5年間ずっと同じ
同じ金額を払っていても、その中身は毎月こっそり入れ替わっているわけです。
払っている金額は同じでも、減っている借金の額は同じではありません。
同じ7万円台を毎月きちんと払い続けているのに、借金が減るスピードだけが落ちている。しかも通帳には何も表れません。
ちゃんと払ってるのに、減り方だけ遅くなってるのか
これが「静かな罠」と呼ばれる理由です。
数字で見ると、どれくらいの差になるのか
具体的な金額で見てみます。借入3,000万円・返済期間35年・元利均等返済(毎月の返済額が一定になる返し方)という前提での概算です。
金利0.5%で借りた場合、毎月の返済額はおよそ7万7,900円になります。この返済額を据え置いたまま、金利だけが1.5%になったとすると、内訳はこう変わります。
| 金利0.5%のとき | 金利1.5%になったあと | |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 約77,900円 | 約77,900円(変わらない) |
| うち利息 | 約12,500円 | 約37,500円 |
| うち元本 | 約65,400円 | 約40,400円 |
毎月の元本の減りが、約6万5千円から約4万円へ。差は月およそ2万5千円、1年で約30万円ぶん、借金が減らなくなっている計算になります。
※これは借入直後の1回分をもとにした概算です。実際には残高が減るにつれて利息は少しずつ減っていくので、毎月ぴったりこの差が続くわけではありません。金利・借入額・返済期間・銀行の商品性によって結果は変わります。
ちなみに同じ条件で、5年ルールがなくて返済額がそのまま上がる場合は、毎月およそ9万1,900円。月に約1.4万円、年間で約17万円の増加です。
- 5年ルールが止めているのは返済額だけ。金利も利息も動いている
- 125%ルールは上がり方の上限であって、上がらない保証ではない
- 返済額が同じなら、増えた利息の分だけ元本の減りが遅くなっている
- 上の前提での概算では、元本の減りが月およそ2万5千円ぶん鈍る
では、その差はどこで確認できるのか。次の章で、見る場所を3つに絞ります。
確認するのは1枚だけ。返済予定表の見かた

ここからは手を動かすパートです。とはいえ、やることは1つだけ。返済予定表という紙(またはネットバンキングの画面)を開いて、3か所を見る。
それだけで、前の章の話が自分の家計の数字として確認できます。所要時間は10分もかかりません。
そもそも返済予定表はどこにあるのか
返済予定表とは、毎回の返済額と、その内訳(利息と元本の分かれ方)、残高の推移が一覧になった表のことです。
- 借入時に銀行から受け取った書類一式の中
- 銀行のネットバンキング、またはアプリのローン明細のページ
- 年末に届く「残高証明書」ではなく、返済予定が並んだ表のほう
呼び方は銀行によって違って、「返済予定表」「償還予定表」「ご返済予定のお知らせ」などになっています。見つからないときは銀行に問い合わせれば再発行してもらえます。
借りたとき以来、たぶん一度も開いてないな…
それがふつうです。返済は自動で引き落とされるので、開く用事がないんですよね。
見るのは、この3か所だけ
全部を読む必要はありません。次の3つだけ確認してください。
- 適用金利 … いま自分に適用されている金利は何%か
- 返済額の内訳 … 毎回の返済額のうち、元本にいくら、利息にいくら回っているか
- 残高 … ローン残高が1年前とくらべてどれだけ減ったか
内訳の欄は「元金充当額」「利息充当額」といった名前で書かれていることが多いです。難しそうな言葉ですが、意味は「元本に回った分」「利息に回った分」というだけです。
この3つのうち、いちばん大事なのは2番の内訳です。ここだけが、返済額に出てこない変化を教えてくれます。
1年前と今を並べると、何が分かるか
1か所だけ見ても、変化は分かりません。同じ欄を、1年前と今で並べて比べてください。
- 元金充当額 …… 減っていないか
- 利息充当額 …… 増えていないか
- 毎月の返済額 …… 変わっていないか
返済額が同じままなのに、元金充当額だけが減っていたら、それが答えです。減った分はそのまま利息に回っています。
その差額に12をかけると、1年間で「元本が減らなくなった金額」が出ます。前の章の30万円は、この計算を借入直後の数字でやったものです。自分の数字でやると、金額はまったく違ってきます。
数字が出ると、不安は「なんとなく怖い」から「いくらの話なのか」に変わります。これが確認をおすすめするいちばんの理由です。
見て、どうだったら気にしたほうがいいのか
確認した結果、次のどれかに当てはまったら、頭の片隅に置いておく価値があります。
- 元金充当額が、1年前より目に見えて減っている
- 適用金利が、借りたときより上がっている
- 自分の銀行に5年ルール・125%ルールがあるのかどうか、分からない
- 返済予定表そのものが見つからない
このうち1つでも答えに詰まるものがあれば、そこが出発点になります。
うち、5年ルールがあるかどうかも知らないかも
3つ目と4つ目は、金額の問題ではなく「自分の契約の中身を知らない」という状態です。金利が動く時期なので、ここは早めに埋めておいたほうがいい部分だと思います。
そして、ここまで確認できた人が次に気になるのが「じゃあ6年目に何が起きるのか」です。次の章で見ていきます。
6年目に、何が起きるのか

ここまでは「いま起きていること」の話でした。この章では、その先を見ます。
返済額が動かない期間はいつか終わり、6年目に金額として表に出てきます。
何が起きるのかを先に知っておけば、そのときに慌てずに済みます。過度に不安をあおる話にはしません。事実だけを並べます。
返済額の見直しは、5年ごとにやってくる
5年ルールが効いている間も、金利は動き続けています。そして6年目に入るとき、その時点の金利で返済額が計算し直されます。
- 1〜5年目 …… 返済額は据え置き。内訳だけが変わる
- 6年目 …… その時点の金利で返済額を再計算
- 7〜10年目 …… 新しい返済額で据え置き
- 11年目 …… またここで見直し
つまり、5年間の変化がまとめて1回で表に出てくる形になります。じわじわ上がるのではなく、5年に一度、階段を一段のぼるイメージです。
返済額が変わらない期間は、負担がなかった期間ではなく、変化が見えなかった期間です。
125%は「上限」であって、「目安」ではありません
ここを誤解している人が多い部分です。125%ルールは「1.25倍まで上がる」という意味ではなく、「上がるとしても1.25倍を超えない」という意味です。
じゃあ、必ず1.25倍になるわけじゃないんだ
そうです。上限に張り付くのは、金利がかなり大きく上がったときだけです。
前の章の例で確かめてみます。毎月7万7,900円で借りた人の場合、125%の上限はおよそ9万7,300円。一方、金利が0.5%から1.5%へ1%上がったときの返済額はおよそ9万1,900円でした。
この例では、返済額(約9万1,900円)は上限(約9万7,300円)に届いていません。つまり1%程度の上昇なら、125%ルールが出番になる前に決着します。
上限が実際に効いてくるのは、もっと大きく金利が動いた場合です。いまの水準がそのまま1.25倍を意味するわけではない、というのは押さえておいてください。
上限で抑えた分は、どこへ行くのか
ただし、注意すべき場面もあります。金利が大きく上がって、上限まで引き上げた返済額でも利息に届かなくなった場合です。
返済額のうち利息をまかないきれなかった分は「未払利息」として残ります。免除されるわけではなく、後ろへ繰り延べられる形です。契約によっては、最終回にまとまった残債の精算が発生することがあります。
これは金利が相当に大きく動いた場合の話で、いますぐ全員に起きることではありません。
ただ、5年ルールと125%ルールが「負担を消してくれる仕組み」ではないことは、この一点にはっきり表れています。
2つのルールがしているのは、支払いのタイミングをうしろへずらすこと。減らしているのは月々の衝撃であって、支払う総額ではありません。
そして未払利息の扱いや、そもそも5年ルール・125%ルールがあるかどうかは、銀行と契約によって違います。
ここは一般論では答えが出ない部分なので、自分の契約書か銀行への確認が必要になります。
- 返済額の見直しは5年ごと。5年ぶんの変化が1回で表に出る
- 125%は上限であって、必ずそこまで上がるという意味ではない
- 大きく金利が動いた場合には未払利息が生じ、後ろへ繰り延べられることがある
- ルールの有無も未払利息の扱いも銀行と契約によって違うので、自分の契約書で確認する
なぜ「いま」なのか

この記事を今日書いているのには理由があります。5年ルールの話自体は昔からあるものですが、いまはちょうど、それが自分の数字として動き出すタイミングに重なっています。
この章では、その状況だけを事実として並べます。急かすつもりはありません。
6月の利上げの反映が、まさにいま進んでいる
最初の章でも触れましたが、ここが「いま」である最大の理由です。
- 6月 …… 日銀が政策金利を0.75%から1.00%へ引き上げ
- 7月 …… 会合では据え置き
- 9月 …… 一部の銀行が先行して変動金利を引き上げ
- 10月 …… 大半の銀行が引き上げる見込み
つまり、6月のニュースの影響がいま順番に届いている最中です。9月に確認して何も変わっていなくても、10月に同じ場所を見たら数字が動いている、ということが起こりえます。
一度確認して終わりではなく、「いつ反映されるのか」を自分の銀行に確かめておくのがいちばん確実です。
この先の見通しは、あくまで「見方」として扱う
先の金利がどうなるかは、誰にも分かりません。ここは正直に書いておきます。
このあとも上がり続けるってこと?
そこは断言できません。予想は予想として扱うのが正しいと思います。
2026年9月時点では、日銀が緩やかな利上げを続けるという見方や、年内にさらに引き上げられる可能性を指摘する意見が出ています。
ただし、これらは決まった事実ではなく、市場や専門家の予想です。
金利の先行きについて「必ず上がる」「いま動かないと損をする」と断定する情報には注意してください。金利は経済の状況で上にも下にも動きます。断定した瞬間に、それは予測ではなく勧誘になります。
僕がこの記事で言いたいのは「上がるから急げ」ではありません。上がったかどうかを自分で確認できる状態にしておこう、という話です。
だから今日やることは、動くことではなく確認すること
ここで多くの記事は「借り換えを検討しましょう」と続きます。この記事ではそこへ行きません。
- 今日やる …… 返済予定表を開いて、適用金利と内訳を見る
- 今日やる …… 自分の銀行に5年ルール・125%ルールがあるか確認する
- 今日はやらない …… 借り換えの申し込み
- 今日はやらない …… 繰り上げ返済の判断
借り換えも繰り上げ返済も、手数料や残りの期間、家計全体の状況で答えが変わります。自分の現在地の数字を持たないまま比較サイトを開いても、判断する材料がないので、順番として先に確認があります。
ちなみに僕は住宅ローンを組んでいないので、借り換えを実際にやった経験もありません。だから、やってみた感想としては書けない。この記事が確認までで止まっているのは、そういう理由でもあります。
現在地が分かったうえで、それでも支出を減らしたいと思ったとき。次の章が、その話になります。
返済額は自分では変えられない。でも、取り戻す場所はある

ここまで読んで、少し重たい気持ちになった人がいるかもしれません。最後にその話をさせてください。金利は自分ではどうにもできない。でも、家計の中で自分の裁量が効く場所は、実はまだ残っています。
金利は交渉できないけれど、手取りは動かせる
政策金利も、銀行が適用する金利も、僕たちが交渉して下げられるものではありません。ここは受け取るしかない部分です。
じゃあ、こっちにできることは何もないってこと?
そんなことはないです。負担が増えた金額と、同じくらいの金額を別の場所で取り戻せばいい。
前の章で出した例では、金利が1%上がると年間で約17万円の負担増でした。この数字を「どうしようもない損失」として受け取るか、「別の場所で取り返す目標額」として受け取るかで、次の行動がまったく変わります。
17万円は、家計の中で取り戻せない金額ではありません。動かす場所を、金利から税金へ移すだけです。
しかも多くの人は、取り戻せる制度を半分しか使っていない
手取りを増やす方法のうち、自分の裁量だけで完結するのが「払わなくていい税金を払わない」ことです。交渉相手もいないし、今年から始められます。
- ふるさと納税 …… 上限の範囲内であれば、実質2,000円の負担で返礼品を受け取れる
- iDeCo …… 掛けた金額がまるごと所得控除(税金の計算から差し引かれる)になる
どちらも制度の中身は改正されることがあるので、実行するときは最新の条件を確認してください。
とくにiDeCoは、掛金を自分で運用する仕組みなので、選ぶ商品によっては元本割れ(払った金額を下回ること)もあります。所得控除で戻ってくる分と、運用のリスクは別の話として見てください。
ここで多いのが、両方をなんとなく使っていて、かえって損しているケースです。この2つは家計の中で別々の制度に見えて、実は片方がもう片方の枠を削る関係にあります。
iDeCoの掛金は所得控除になるため、その分だけふるさと納税で寄付できる上限が下がります。この関係を知らずに前年と同じ感覚で寄付すると、上限を超えた分は自己負担になります。しかも超えたことに気づけるのは、翌年6月の住民税決定通知が届いたときです。
順番を知らないまま両方やると、片方がもう片方の枠を削っていることに気づけません。
両方やってるほうが得だと思ってた…
やること自体は正しいんです。問題は順番のほうです。
僕がこの2つをまだやっていない側から見て、思うこと
正直に書いておくと、僕はふるさと納税もiDeCoも、まだやっていません。だから「やってみたらこうでした」という体験談は書けません。
でも、調べてみて思ったことはあります。
ふるさと納税は、使わないと損だなと素直に思いました。返礼品が魅力的すぎるし、そもそも日用品まで選べることを僕は知りませんでした。iDeCoについても、これは使ったほうがいいなと感じています。
やっていない側から見ると、この2つは「知っているのにやっていない」人がいちばん多い制度だと思います。損をしているというより、取り戻せるはずのお金を置いたままにしているという感覚に近い。
住宅ローンの金利は、僕たちの手が届かないところで決まります。だったら、手の届くところは全部取りにいったほうがいい。
金利は動かせない。動かせるのは、毎年ここから戻ってくる金額のほうです。 ふるさと納税とiDeCoを「どの順番で、いくらに設定するか」まで具体的に決められる実行順マニュアルを、noteにまとめました。掛金を先に決めてから寄付枠を計算する手順と、上限から引いておく安全マージンの決め方までを書いています。
▶ ふるさと納税とiDeCo、両方やる人ほど損してる|40代の手取り防衛・実行順マニュアル
まとめ:返済額が同じことは、安心の証拠ではない

長くなったので、最後に要点だけ並べておきます。今日この記事から持ち帰ってほしいのは、実は1つだけです。
- 返済額が変わらないのは、金利が上がっていないからではなく「5年ルール」で変えないようにしているから
- 止まっているのは返済額だけで、内訳(利息と元本の分かれ方)は動いている
- 返済額が同じなら、増えた利息の分だけ元本の減りが遅くなっている
- 125%ルールは上がり方の上限であって、負担が消える仕組みではない
- 確認するのは返済予定表1枚。適用金利・内訳・残高の3か所を、1年前と今で見比べる
5つ並べましたが、突き詰めるとこういうことです。
金額が変わらないことと、何も起きていないことは、別のことです。
僕が30代のころ、振込額を見て「増えてない」と思ったとき。あのときはすぐ調べました。調べられたのは、増えるはずだと思っていた数字だったからです。違和感があったから、手が動いた。

違和感があったから調べられた。それだけの話なんです
住宅ローンには、その違和感が来ません。返済額はずっと同じままだからです。
だからこの記事の結論は、借り換えでも繰り上げ返済でもありません。違和感が来ないものは、こちらから開きにいく。それだけです。
そのうえで、金利で増えた負担を別の場所で取り返したい人へ。順番と金額の決め方はこちらにまとめています。
▶ ふるさと納税とiDeCo、両方やる人ほど損してる|40代の手取り防衛・実行順マニュアル
もうひとつ。この記事は「何を確認するか」の話でしたが、そもそもなぜ僕たちは気づけないのかという側の話は、noteに別で書きました。数字よりも、気づけなかった側の気持ちに寄せた内容です。
返済予定表、どこにしまったか思い出せますか。まずはそこからで大丈夫です。
