「もう無理かもしれない」——月曜の朝、通勤電車の中でそう思ったことはないだろうか。上司の言うことが、筋が通っていない。それでも従わなければいけない。そのモヤモヤを抱えたまま出社して、気づけばスマホの検索窓に「会社 辞めたい」と打ち込んでいる。

僕自身、30代前半のときに同じ理由で会社を辞めた。今の話ではなく、当時の話だ。辞めたこと自体は後悔していない。ただ、辞める前にやっておけばよかったことが、ひとつだけある。この記事では、その後悔の中身と、在職中の今だからできる小さな一歩を書く。

この記事で学べること
  • 上司の理不尽で消耗しているのが自分だけではないと分かる
  • 「辞める」か「我慢する」の二択以外の選び方があると分かる
  • 辞める前にやっておくと後悔が減る、具体的な準備が分かる
目次
  1. 会社に着く前から、もう疲れている
    1. 理不尽の中身は「怒鳴られる」ことじゃなく「筋が通らない」こと
    2. 辞めたいと思いながら、誰にも言えずにいる孤独
  2. 「甘え」だと思われたくなくて、言い出せなかった
    1. ミドルシニア就労者の約8割が同じ不安を抱えている
    2. 我慢し続けることそのものがリスクという視点
  3. 僕が上司の理不尽で辞めたときの話
    1. 理不尽の正体は、上司自身が仕事をせず遊んでばかりいたこと
    2. 辞めるかどうか3ヶ月迷った末に、結局辞めた
  4. 辞めてよかったこと、辞める前にやればよかったこと
    1. 辞めてよかったのは、理不尽なストレスが消えたこと
    2. 唯一の後悔は「副業を安定させてから辞めればよかった」こと
  5. なぜ「辞めてから」ではなく「辞める前」なのか
    1. 収入がゼロの状態で動くのと、給料がある状態で試すのとでは焦りの質が違う
    2. 会社に籍を置いたまま試すのは「逃げ」ではなく「準備」
  6. 辞める前に知っておきたい、副業の最初の壁
    1. 年間所得20万円を超えたら確定申告が要るライン
    2. 会社に知られたくないなら、住民税は「普通徴収」を選ぶ
  7. それでも「今すぐ辞めたい」なら
    1. 我慢し続けることが心や体を壊すラインを超えているなら話は別
    2. 「勢いで辞める」と「準備してから辞める」では、辞めたあとの景色が変わる
  8. まとめと次の一歩

会社に着く前から、もう疲れている

この章では、上司の理不尽で消耗している状態を、まず言葉にすることから始める。自分の状況がうまく言えないまま我慢を続けると、疲れの正体が分からず、ただ「自分が弱いだけ」だと思い込みやすいからだ。

理不尽の中身は「怒鳴られる」ことじゃなく「筋が通らない」こと

上司からのプレッシャーというと、大声で怒鳴られる場面を想像する人が多いかもしれない。でも実際に人を消耗させるのは、もっと静かなものだ。指示が朝令暮改で二転三転する。

昨日は「早く出せ」と言われた資料を、今日は「なぜそんなに急いだ」と言われる。何が正解か分からないまま、次の指示を待つ時間だけが増えていく。

まさ

怒られてるわけじゃないのに、なんでこんなに疲れるんだろう

のぶ

それ、筋が通らないことへの疲れだと思う

辞めたいと思いながら、誰にも言えずにいる孤独

さらにつらいのは、この状態を周りに話しにくいことだ。同僚に愚痴っても「そんなもんだよ」で流されることがある。

家族に相談すれば「我慢が足りないんじゃないか」と言われるかもしれない。誰も悪気はないのに、自分だけが大げさに反応しているような気持ちになる。

「上司が理不尽」という言葉だけでは、周りに伝わりにくい。具体的な場面(指示が二転三転する、成果と関係なく評価される、など)まで言葉にできると、自分自身も状況を整理しやすくなる。

「甘え」だと思われたくなくて、言い出せなかった

ここでは、辞めたいと感じることが「甘え」ではない理由を、データと構造の両方から見ていく。

ミドルシニア就労者の約8割が同じ不安を抱えている

実は、「このまま今の会社にしがみついていていいのか」という漠然とした恐怖は、ミドルシニアの就労者の約8割が共有しているリアルな感覚だと言われている。つまり、あなたが特別に弱いから辞めたいと感じているわけではない。

むしろ、この年代の大多数が同じ不安を抱えながら、それでも黙って出社を続けている、というのが実態に近い。

「辞めたい」と感じるのは弱さの証拠ではなく、この年代の大多数が共有している感覚である

我慢し続けることそのものがリスクという視点

「石の上にも三年」という言葉があるように、我慢すること自体が美徳とされる場面は多い。でも、筋が通らない指示に耐え続けることと、成長のための我慢を混同してはいけない。

前者は、自分の判断力や心の余裕をすり減らすだけで、何かが積み上がっていくわけではないからだ。

理不尽を我慢し続けることは、根性の証明ではなく、判断力をすり減らすリスクでもある。

僕が上司の理不尽で辞めたときの話

ここからは、僕自身の話をする。30代前半、当時勤めていた会社での出来事だ。

理不尽の正体は、上司自身が仕事をせず遊んでばかりいたこと

僕の場合、理不尽の正体はシンプルだった。上司自身が仕事をせず、遊んでばかりいたことだ。指示は雑で、責任の所在もあいまいだった。

それでいて、うまくいかないときのしわ寄せはこちらに来る。「なぜこの人の下で自分が消耗しなければいけないのか」という感覚が、日に日に積み重なっていった。

辞めるかどうか3ヶ月迷った末に、結局辞めた

すぐに辞めると決めたわけではない。迷った期間は、だいたい3ヶ月ほどだった。今日はまだ大丈夫、来月まではがんばろう、そう自分に言い聞かせる日が続いた。

でも、その「まだ大丈夫」は少しずつ積み重なって、限界に近づいていった。最終的に、僕は結局そのまま辞める決断をした。

まさ

3ヶ月も迷ったんですか

のぶ

うん。すぐには決められなかった

辞めてよかったこと、辞める前にやればよかったこと

この記事でいちばん伝えたいのは、この章の内容だ。辞めたこと自体への評価と、辞め方への評価は、分けて考える必要がある。

辞めてよかったのは、理不尽なストレスが消えたこと

まず、辞めてよかったことははっきりしている。理不尽なストレスが消えたことだ。毎朝、あの上司の顔を思い浮かべながら出社することがなくなった。

それだけで、心の重さがまったく違った。この点について、僕は今も後悔していない。

唯一の後悔は「副業を安定させてから辞めればよかった」こと

一方で、後悔していることがひとつだけある。辞める前に、副業を安定させておけばよかったということだ。

会社という収入源がある状態で、外の世界で小さく稼ぐ経験を積んでおけば、辞めたあとの焦り方がまったく違っていたはずだ。

辞めたこと自体は後悔していない。後悔しているのは「辞める前に何も試していなかった」こと

なぜ「辞めてから」ではなく「辞める前」なのか

ここでは、なぜ「辞めてから動く」よりも「辞める前に動く」ほうがいいのか、その理由を説明する。

収入がゼロの状態で動くのと、給料がある状態で試すのとでは焦りの質が違う

辞めたあとに何かを始めるのと、会社に在籍したまま試すのとでは、抱える焦りの質がまったく違う。

収入がゼロになった状態で新しいことに挑戦すると、「早く結果を出さなければ生活が立ち行かない」という焦りが、判断を鈍らせる。

一方、給料という土台がある状態なら、小さく試して、うまくいかなければ立て直す、という余白を持てる。

会社に籍を置いたまま試すのは「逃げ」ではなく「準備」

「会社にいながら副業を試す」というと、腰が引けているように見えるかもしれない。でも僕の実感では、これは逃げではなく準備だ。

会社という土台があるうちに、外の世界で自分の力がどれくらい通用するのかを確かめておく。それだけで、いざというときの選択肢が増える。

「辞めてから頑張る」のではなく「辞める前から小さく試しておく」。この順番の違いが、辞めたあとの景色を大きく変える。

辞める前に知っておきたい、副業の最初の壁

ここでは、実際に副業を始めるときに、最初にぶつかる実務の壁を2つ紹介する。踏み込んだ手順はブログの後半で詳しく扱うので、ここではまず知っておくべきことだけを押さえてほしい。

年間所得20万円を超えたら確定申告が要るライン

副業を始めるときにまず知っておきたいのが、年間所得20万円というラインだ。

副業の利益がこのラインを超えると、確定申告が必要になる(確定申告:1年間の所得を自分で計算して税務署に申告する手続きのこと)。

領収書や取引の記録は、早いうちからデジタルで保管しておくと、あとで慌てずに済む。

会社に知られたくないなら、住民税は「普通徴収」を選ぶ

副業をしていることが会社に知られる最大のきっかけは、住民税の通知だと言われている。

副業分の所得が増えると、住民税額が変わり、会社の給与担当者がその変化に気づくことがあるからだ。こ

れを避けたい場合は、確定申告のときに住民税の徴収方法として「普通徴収(自分で納付書を使って納める方法)」を選べる。こうすれば、納付書は会社ではなく自宅に届く。

普通徴収を選び忘れると、住民税の通知が会社経由になり、副業の存在が伝わってしまうことがある。確定申告の際は選択欄を必ず確認したい。

ただし、これは「会社にバレない裏ワザ」ではない。会社によっては就業規則で副業そのものを禁止していたり、事前の届け出を求めていたりする。まず自社の就業規則を確認したうえで、ルールの範囲内で動くことが前提になる。

それでも「今すぐ辞めたい」なら

ここまで「辞める前に準備を」と書いてきたが、すべてのケースに当てはまるわけではない。この章では、その例外について触れる。

我慢し続けることが心や体を壊すラインを超えているなら話は別

理不尽を我慢し続けることが、心や体を壊すレベルに達しているなら、話は別だ。準備よりも先に、自分の心と体を守ることを優先してほしい。

この記事で伝えたいのは「絶対に準備してから辞めろ」ということではなく、「余裕があるうちに、少しでも準備しておくと選べる道が増える」ということだ。

「勢いで辞める」と「準備してから辞める」では、辞めたあとの景色が変わる

同じ「辞める」でも、勢いだけで辞めるのと、少しでも準備してから辞めるのとでは、そのあとの景色がまったく違う。

すべてを完璧に整えてから辞める必要はない。ただ、今日からでも始められる小さな一歩があるなら、それだけで辞めたあとの焦り方が変わってくる。

ひかり

完璧に準備できてなくても、始めていい理由がそこにあるんですね

のぶ

うん。ゼロか100かで考えなくていい

まとめと次の一歩

ここまで、上司の理不尽で辞めたいと感じている人へ向けて、辞める前にできる準備について書いてきた。

ただ、この記事で書いたのは「方向」までで、当時の僕がどんな気持ちで3ヶ月悩んだのか、辞めたあとにどう感じたのかという、もう少し感情に近い部分までは書ききれていない。

この記事のまとめ
  • 上司の理不尽で辞めたいと感じるのは、甘えではなく多くの人が共有する感覚
  • 辞めること自体より、辞め方(準備の有無)が、辞めたあとの景色を左右する
  • 唯一の後悔は「辞める前に副業を安定させておけばよかった」こと

最後に、この記事だけでは書ききれなかった部分を、行き先として置いておく。

辞める前の心境や、辞めたあとの実感をもっと詳しく知りたい方へ。
noteに、当時の気持ちをそのまま書いた記事があります。

上司が理不尽で辞めたい。それは甘えじゃない